措置入院の解除後に使える地域支援制度|退院後の生活を支える仕組みとは?
措置入院が解除されて退院したあと、「これからどうすればいいのだろう」と不安に感じている方や、そのご家族は少なくありません。この記事では、退院後の生活を支える地域支援制度の仕組み、利用できるサービスの種類、医療をどのように継続すればよいかについて、わかりやすくご説明します。
措置入院が解除されて退院したあと、「これからどうすればいいのだろう」と不安に感じている方や、そのご家族は少なくありません。この記事では、退院後の生活を支える地域支援制度の仕組み、利用できるサービスの種類、医療をどのように継続すればよいかについて、わかりやすくご説明します。
目次
措置入院という言葉を初めて耳にする方もいれば、ご自身やご家族が実際にその経験をされた方もいるかもしれません。措置入院は、精神症状により自傷・他害のおそれがあると判断された場合に、都道府県知事の権限によって行われる入院制度です。本人の同意がなくても入院できる制度であるため、当事者にとっても、ご家族にとっても、精神的な負担が大きいものです。
そして、措置入院が解除されて退院した後、「一人で生活できるだろうか」「また同じことが起きないか心配」「どんな支援を受けられるのかわからない」という不安の声をよく耳にします。退院後の生活には、医療・福祉・生活支援など、さまざまな制度が整備されています。しかし、制度の名称や手続きが複雑で、何から調べればよいかわからないという方も多いのが現状です。
この記事では、措置入院の基本的な仕組みを整理したうえで、解除・退院後に利用できる地域支援制度を具体的にご紹介します。退院後の生活を支える仕組みを知ることが、安心して地域で暮らし続けるための第一歩になります。ご本人はもちろん、支える側のご家族の方にもぜひお読みいただけると幸いです。
まず、措置入院の制度について簡単に整理しておきましょう。措置入院は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)第29条に基づく入院制度です。精神症状のために、自傷(自分を傷つけること)または他害(他者を傷つけること)のおそれがあると都道府県知事が認めた場合に、本人の同意がなくても入院させることができます。
措置入院の手続きは以下のような流れで行われます。警察官や検察官、保護観察所長などから通報を受けた都道府県が、精神保健指定医(国が指定した精神科専門医)2名以上に診察を依頼し、両者が「措置入院が必要」と一致した場合に措置入院が決定されます。入院先は、都道府県が指定する指定病院(国立・都道府県立の精神科病院など)です。
措置入院は強制的な措置ですが、その目的はあくまでも「本人の安全を守り、適切な医療を受けてもらうこと」です。入院中は定期的に病状が評価され、自傷・他害のおそれがなくなったと精神保健指定医が判断した場合、措置が解除されます(精神保健福祉法第29条の4)。
厚生労働省の調査によると、令和3年度に措置入院となった件数は全国で約2,100件前後で推移しています。措置入院の平均在院日数は一般の精神科入院と比較して長くなることもありますが、症状が安定し次第、速やかな解除・退院が目指されます。
措置が解除されると、入院の法的根拠がなくなります。その後は、本人の同意に基づく任意入院に切り替えるか、あるいは退院するかを、主治医と本人・家族が相談しながら決定します。
退院にあたっては、病院のソーシャルワーカー(精神保健福祉士)が中心となって、退院後の生活の場や支援体制を整える退院支援が行われます。しかし、措置入院の解除直後は、本人も家族も情報が少なく、「退院後にどこへ相談すればよいのか」が見えにくい状況になりがちです。
特に北海道は広大な地域を抱えており、市街地以外では精神科・心療内科の医療機関が限られているケースがあります。退院後も地域で継続的な医療・支援を受けるためには、退院前から利用できる制度を知っておくことが非常に重要です。
措置入院の解除後、医療機関との関係が途切れると、症状の再燃リスクが高まることが知られています。退院後も継続して医療や支援につながり続けることが、安定した生活を送るうえで大切です。
退院後の生活を支えるために、日本にはさまざまな制度が整備されています。ここでは、特に精神科・心療内科の退院後に関連する主な制度を紹介します。
2018年の精神保健福祉法改正において、措置入院者の退院後支援計画の策定が都道府県・政令指定都市の努力義務として定められました(第29条の5〜29条の8)。これにより、措置入院患者が退院する際に、行政・医療機関・福祉関係者が協力して「退院後支援計画」を作成し、退院後も継続的に支援する仕組みが整えられています。
退院後支援計画には、外来診療の継続、訪問支援、相談窓口などが含まれます。北海道においても、保健所が中心となってこの計画の策定・支援が行われています。退院前に病院のソーシャルワーカーや主治医、担当の保健師などに相談してみてください。
精神疾患を有する方が一定の障害の状態にある場合、精神障害者保健福祉手帳を取得できます。手帳は1〜3級に区分され、等級に応じて税制の優遇、公共料金の割引、就労支援サービスの利用など、さまざまなメリットがあります。申請は市区町村の窓口で行い、主治医の診断書が必要です。
障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスは、精神疾患のある方も広く利用できます。代表的なものとして以下があります。
| サービス名 | 内容 |
|---|---|
| 自立支援医療(精神通院医療) | 通院医療費の自己負担を原則1割に軽減する制度。収入に応じた上限あり |
| 居宅介護(ホームヘルプ) | 自宅での家事・身体介護などの支援 |
| 就労移行支援 | 一般就労を目指す方への職業訓練・就活支援 |
| 就労継続支援(A型・B型) | 一般就労が難しい方への働く場の提供 |
| グループホーム(共同生活援助) | 日常生活上の相談・支援を受けながら共同生活できる住まい |
| 地域活動支援センター | 創作活動や社会参加、相談などができる日中の居場所 |
これらのサービスは市区町村に申請し、支給決定を受けることで利用できます。申請時には、主治医の意見書や診断書が必要になる場合があります。
精神科受診に関する相談や、地域でどの支援を利用すればよいかの相談は、保健所や精神保健福祉センターで受け付けています。
北海道では、北海道立精神保健福祉センターが精神保健に関する相談窓口として機能しており、本人・家族・支援者からの相談を受け付けています。また、各地域の保健所にも精神保健を担当する保健師が配置されており、退院後の生活相談や訪問支援につないでもらうことができます。
措置入院の解除・退院後に最も重要なことのひとつが、医療を継続することです。精神疾患の多くは、適切な治療を続けることで症状を安定させ、再発を防ぐことができます。しかし、退院後に通院が途絶えてしまうケースは少なくありません。
通院が続かない理由としては、「病院が遠い」「外出するのがつらい」「人に会いたくない」「受診のハードルが高い」などが挙げられます。特に北海道では、精神科・心療内科が集中する都市部から離れた地域に住んでいると、通院自体が大きな負担になることがあります。
多くの精神疾患では、薬物療法(抗精神病薬、気分安定薬、抗うつ薬など)が治療の柱のひとつとなります。退院後も処方された薬を自己判断で中断することは、症状が再燃するリスクを高めます。薬に関して「副作用が気になる」「飲み続けるのが不安」という場合は、自己判断で中止するのではなく、主治医に相談することが大切です。
薬物療法と並んで、認知行動療法(CBT)や心理教育、SST(社会生活技能訓練)などの精神療法・心理的支援も、再発予防に重要な役割を果たします。これらは外来でも受けることができ、デイケア(精神科デイケア)の活用も有効な選択肢です。
精神科デイケアは、退院後に社会復帰を目指す方が、日中に医療機関に通いながら生活リズムを整え、対人関係のスキルを高める場として機能しています。北海道内の多くの精神科病院・クリニックでデイケアが提供されています。
「退院後も定期的に精神科を受診したいが、近くに医療機関がない」「外出のハードルが高くて通院が難しい」という方にとって、オンライン診療は非常に有力な選択肢のひとつです。
北海道オンラインクリニック(医療法人鳳應会)では、精神科専門医・精神保健指定医である道塚瞬医師が監修のもと、北海道在住の方を対象としたオンライン精神科診療を提供しています。スマートフォンやパソコンを使って、自宅にいながら精神科医の診察を受けることができます。
措置入院の解除後、退院して地域での生活を再開したあと、「まず受診してみたいけれど対面はまだ不安」「通院できる病院が近くにない」という方にとって、自宅から受診できるオンライン診療は精神的なハードルを下げる手助けになることがあります。
オンライン診療では、病状の確認、処方のフォローアップ、生活上の相談などを行うことができます。ただし、初回の状態によっては対面診療や入院施設との連携が必要になる場合もあります。受診前に、ご自身の状況についてお気軽にお問い合わせください。
また、自立支援医療(精神通院医療)の適用については、オンライン診療でも対応できる場合があります。医療費の負担を軽くしながら継続的に診療を受けることが可能です。詳しくは受診時にご確認ください。
措置入院は、当事者ご本人だけでなく、ご家族にとっても非常に大きな体験です。「退院後に何かあったらどうしよう」「また同じことが起きるのではないか」という不安を抱えながら、日常生活を送っている方も多いことと思います。
ご家族向けの支援として、以下のような資源が活用できます。
支える側が心身ともに疲弊してしまっては、長期的な支援は難しくなります。ご家族の方も、遠慮なく相談窓口を活用していただければと思います。
措置入院の解除後、「また病院に関わるのは怖い」「精神科に行くことへの抵抗感がある」という気持ちを持つ方も少なくありません。それは、決して特別なことではなく、多くの方が感じる自然な気持ちです。
しかし、精神科・心療内科での治療は、症状を安定させ、地域での生活を支えるためのものです。入院とは異なり、外来通院は本人の意思を尊重しながら進められます。「今の状態を話してみる」だけでも、専門家に相談することで、適切な支援につながることがあります。
特に、以下のようなサインがある場合は、早めに医療機関や相談窓口に連絡することをお勧めします。
自傷・他害の気持ちが強くなった場合は、すぐに救急医療機関や警察、あるいは以下の相談窓口にご連絡ください。北海道こころの健康相談ダイヤル:0570-064-556(平日9時〜17時)。いのちの電話:0120-783-556(毎日16時〜21時、毎月10日は8時〜翌8時)。
オンライン診療は、「対面が難しいけれど、まず話してみたい」という方の最初の一歩として利用していただくことも可能です。北海道オンラインクリニックでは、予約から診察まで、できるだけ負担が少ない形で受診していただけるよう努めています。ひとりで抱え込まず、まずはご相談ください。
この記事では、措置入院の解除後に利用できる地域支援制度と、退院後の生活を支える仕組みについてご説明しました。重要なポイントを以下に整理します。
地域で安心して暮らし続けるために、使える制度と支援をうまく活用してください。北海道オンラインクリニックも、その一助になれれば幸いです。まずはお気軽にご相談ください。
北海道オンラインクリニック(医療法人鳳應会)では、統括医師・道塚瞬が 日本専門医機構認定 精神科専門医および 厚生労働省 精神保健指定医の両資格を有しており、 初診から必ず専門医が担当します。
「近くに専門医がいない」「通院が大変」「プライバシーが心配」という 北海道全域の方々に、自宅から質の高い精神科医療をお届けするために、 オンライン遠隔診療を提供しています。